ジブリ映画『天空の城ラピュタ』に登場する冷酷なエリート軍人、ムスカ大佐。
劇場公開から40年。
彼は、今や「目がぁぁ!」の断末魔で愛されるジブリ界最強の「ネタキャラの王」として君臨しています。
ムスカの公式年齢は、資料によって「28歳」と「32歳」の2説があります。
しかし、多くの視聴者は初見で「40代では?」と思ったはずです。
なぜこれほど若い設定の彼が、40代の貫禄を持つのか。
そして、13歳のシータに「結婚」を迫った歪んだ野望の正体とは。
この記事は、ムスカの年齢の謎や生い立ちに触れながら、彼が「目がぁぁ!」と叫んで転落し、現代で「ネタキャラの王」として再浮上するまでを考察。
1986年の劇場公開をリアルタイムで体験した筆者が、ムスカという男の異様な魅力に迫ります。
天空の城ラピュタ|ムスカ大佐は何者?本名と隠れた野心
隠された本名「ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ」
ムスカには、政府にも隠している本当の名前があります。
それが、ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタです。
ラピュタの王家が地上に降りたのは、物語の時から遡ること 約700年前 。
その時、王家は二つの家系に分かれました。
本家であるシータの家系(ウル)と、分家であるムスカの家系(パロ)です。
エリート大佐という「仮面」の下にあるもの
ムスカは若くして政府の特務機関に入り、大佐まで上り詰めました。
でも、出世すること自体は、彼の目的ではありません。
すべては、軍の力を使ってラピュタを捜索できる立場を手に入れるための「手段」でした。
エリート軍人は世を忍ぶ仮の姿。
彼の本質は、自分たちを捨てた世界への復讐心に燃える「復讐者」でした。
彼の人生のすべては、
この「奪われた王の尊厳」を取り戻すことに捧げられていたのです。
天空の城ラピュタ|ムスカの年齢は28歳?32歳?貫禄がありすぎる理由
根拠資料は『アニメージュ』と『ロマンアルバム』
ムスカの驚くべき年齢設定は、1986年発行の公式資料からわかります。
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1986年8月: 『アニメージュ』8月号(ムスカ28歳説の初出)
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1986年8月2日: 映画『天空の城ラピュタ』公開
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1986年10月: 『ロマンアルバム』(ムスカ32歳説の記載)
わずか2ヶ月の間に、公式に近い資料で「28歳」と「32歳」という2つの数字が出たことになりますね。
この迷いは何なのか?
もしかしたら、当初は28歳の設定だったものが、完成した映画の中で動くムスカの貫禄に、制作陣が「やはり30代がふさわしい」と判断を更新したのかもしれません。
どちらにしても、あの落ち着き払った冷徹な貫禄で「20代~30代前半」というのは驚きです。現代なら、まだ若手社員として奮闘していてもおかしくない年齢です。
ムスカはなぜ28歳に見えないのか
ムスカは、なぜ、設定年齢よりもずっと、老けて見えるのでしょうか。
それは彼が、普通の子どもとは違う、特殊な育ち方をしたことに関係ありそうです。
ムスカは、普通の子どもではあり得ない教育を受けたに違いありません。
無邪気に遊ぶ時間をすべて「古文書の解読」と「王座奪還の執念」に捧げてきたと考えると合点がゆきます。
シータが「おまじない」として言葉を教わったのに対し、ムスカは一族の悲願という名の重い鎖に繋がれて育ちました。もはや呪いです。
彼の貫禄は、没落した家系の執念が刻んだ「老い」と言えるでしょう。
天空の城ラピュタ|ムスカはなぜシータに結婚を迫ったのか
13歳のシータに迫る「あり得ない結婚」
ムスカがシータに放った「二人でここで暮らすことになる」というセリフ。
これは、本家(シータ)と分家(ムスカ)の血を掛け合わせ、自分が「正当な王」として君臨するための結婚宣言でした。
ムスカは、分家である自分だけでは「完璧な王」になれないと知っていたのです。
自分の野望を完成させるための「最後のパーツ」としてシータを求めた執着心。
13歳の少女からすれば、こんな申し出を受け入れられるはずがありません。
余裕のハッタリ「3分間待ってやる」の真実
気色の悪い男の言いなりになどなるものか!
シータは心からそう思ったことでしょう。
パズーが助けに来てくれて、死んでもいいくらい嬉しかったと思います。
だから、パズーと一緒なら「滅びの言葉」を言えたのです。
その直前、シータのおさげ髪を片方ずつ撃ち落とすムスカは最高に嫌な奴でした。
暴力で少女を支配するなんて最低です。結婚したら間違いなくDV男です。
パズーが「シータと話をさせて」と頼んだとき。
ムスカが「3分間待ってやる」と言いますが、それは慈悲ではありません。
画面をよく見ると、ムスカは手元で必死に弾の入れ替えを急いでいたように見えます。
弾切れでまごつく姿を見せたくないという、エリートゆえの 「余裕のなさを余裕で隠す」ハッタリ 。嫌な奴ですね。
天空の城ラピュタ|高く飛びすぎたムスカの末路
憧れ続けた「光」に焼かれる皮肉
ムスカの人生は、常に影の中にありました。
暗い書庫で古文書をあさり、地下の暗闇でシータを脅す。
そんな彼がようやく手に入れたのが、ラピュタの圧倒的な「光(雷)」でした。
ラピュタの力を手にしたムスカは、
「見ろ、人がゴミのようだ」
と高笑いします。
人々をあざ笑った後に、今度は自分が裁かれる。
ラピュタの光は彼を王にするのではなく、転落させる光となりました。
まるでギリシャ神話で、太陽に近づきすぎて墜落したイカロスのように、
ムスカは支配したかったはずの光によって「目がぁぁ!」と叫び、視力を奪われます。
得意げに空へ舞い上がった末に、真っ逆さまに転落していく姿は、あまりにも皮肉で、破滅的なものでした。
まとめ|ムスカ大佐が現代で「ネタキャラの王」として君臨するまで
40年前、初めて映画館でムスカを見た時、私は『カリオストロの城』の伯爵を思い出しました。
冷酷で、傲慢で、他人を見下しながら破滅へ向かっていく男。
ムスカは、宮崎駿作品の中でも特に“救いのない悪役”だったと思います。
だからこそ、
「目がぁぁ!」
という、あまりにも劇的で、自業自得すぎる最期は、多くの観客の記憶に焼きつきました。
恐ろしいはずなのに、どこか滑稽。
それは、威張り散らしていたムスカが、あっという間に”超人的な力をもつ王”から、”悲鳴をあげる普通の人間”に戻ってしまったからかもしれません。
その落差こそが、現代のネット文化の中で、ムスカを“安心して笑える悪役”へ変えていったのでしょう。
映画では瓦礫とともに空へ消えたムスカ大佐。
けれど現代のSNSで、彼は再び浮上しました。
ラピュタでは王になれなかった男は、
40年後のインターネットで、「ネタキャラの王」として君臨することになったのです。
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