子どものころ、夢中で見ていたジブリ映画。
あのときはただ楽しかった物語が、大人になって見返すと、まったく違う意味を持って立ち上がってきます。
「なんでこんなに心に残るんだろう?」
そう感じたことはありませんか。
ジブリ映画は、見る人の年齢や状況によって、受け取るものが変わる“生きた物語”だと思います。
この記事では、スタジオジブリの作品が大好きで、繰り返し観てきた私が名作10本を厳選。
映画のエッセンスと制作の裏話や、ちょっと意外なエピソードをご紹介します。
今後、「あのシーンって、そういう意味だったのか」と思える
深掘り考察記事への入り口も順次つけていきます。
もう一度見たくなる一本が、きっと見つかるはずです。
ジブリ映画おすすめ:自分を見失いそうなときに
「自分って何だろう」
そんなふうに立ち止まったとき、そっと背中を押してくれる物語たちです。
①魔女の宅急便
海の見える町に降り立った、13歳の魔女の少女キキ。
ほうきで空を飛び、「おとどけもの」をする仕事を始めます。
新しい町、新しい人間関係。
うまくやっていきたい気持ちとは裏腹に、少しずつ自信を失っていくキキ。
やがて、空を飛べなくなってしまったとき、彼女が向き合うことになるのは、
「自分らしさ」とは何かという問いでした。
【制作秘話】
【制作秘話】
ラストでキキがジジと話せなくなる展開。
これは原作ではなく、宮崎監督が「才能とは何か」を考え抜いた末に加えた演出です。
キキが、魔法に頼らなくても人とつながれる自分へと変わった、その証なのです。
→ 見方が変わる考察、近日公開
②耳をすませば
東京の多摩地域を舞台に、本が好きな中学生の少女・雫のひと夏を描いた物語。
図書館の貸出カードをきっかけに、ある少年と出会います。
将来の夢に向かって進む聖司と、何者にもなれていない自分。
その差に焦りながらも、雫は「物語を書く」という一歩を踏み出します。
何かになりたいと思う気持ちと、まだ何者でもない自分。
その間で揺れる時間が、まっすぐに描かれています。
【制作秘話】
「原石」の話をする地球屋の主人。
監督の近藤喜文さん自身も、制作中に何度も「自分は磨けているのか」と問い続けていたそうです。
その葛藤が、作品にリアルな息づかいを与えています。
👉「耳をすませば」の深い考察はこちら
▶考察|雫が書いた物語の正体とは?あらすじ・声優・制作秘話まとめ
③千と千尋の神隠し
引っ越しの途中、不思議なトンネルを抜けた先で、
千尋は“人ではないものたち”が集まる世界に迷い込みます。
両親は豚に変えられ、名前も奪われてしまう中、
千尋は「千」として湯屋で働くことに。
見知らぬ世界で、自分の名前を忘れそうになりながらも、
誰かのために動くことで、少しずつ「自分」を取り戻していきます。
【制作秘話】
油屋のモデルについて、宮崎監督は「自分が子供の頃に見た銭湯の記憶」を大切にしたそうです。迷宮のようなあの建物には、監督が幼少期に感じた「大人の世界の不思議さ」がつまっているのですね。
👉「千と千尋の神隠し」で、千尋を”成長”させた「ふたりの魔女」はこちら
▶湯婆婆と銭婆は何が違う? 最後に千尋が「おばあちゃん」と呼ぶ理由
④猫の恩返し
ごく普通の高校生ハルは、ある日、猫を助けたことをきっかけに、
猫の国へと連れていかれてしまいます。
歓迎されるはずが、気づけば猫の王子との結婚話が進み、
人間の世界に戻れなくなりそうに。
流されるまま進んでしまう日々の中で、
ハルが取り戻していくのは、「自分で選ぶ」という感覚でした。
【制作秘話】
この作品、実は『耳をすませば』の主人公・月島雫が書いた物語という裏設定があるのをご存知ですか?「雫ならどんな物語を描くか」という視点で観ると、また違った感動が生まれます。
→「猫の恩返し」の深い考察記事は近日公開
ジブリ映画おすすめ:大切な人を守りたいときに
誰かのために勇気を出したいとき。
一歩踏み出すエネルギーをくれる物語です。
⑤天空の城ラピュタ
空から降ってきた少女シータと、鉱山で働く少年パズー。
ふたりは、空に浮かぶ伝説の島「ラピュタ」をめぐる争いに巻き込まれていきます。
軍や海賊に追われながらも、パズーは迷うことなくシータを守ろうと動き続けます。
パズーの迷いのなさは、現代の私たちが忘れてしまった
「信じる力」を思い出させてくれます。
【制作秘話】 劇中の美しい鉱山街は、監督がイギリスのウェールズを旅した際に出会った「廃坑」がモデル。炭鉱夫たちの力強さに感動した監督が、その魂をパズーという少年に託したのです。
→「天空の城ラピュタ」徹底解説、近日公開
⑥ハウルの動く城
帽子屋で働く少女ソフィーは、魔女の呪いによって老婆の姿に変えられてしまいます。
行き場を失った彼女がたどり着いたのは、魔法使いハウルの動く城。
心を閉ざしがちなハウルと、現実を受け入れていくソフィー。
ふたりの関係は、少しずつ変わっていきます。
外見が変わるソフィーの姿は、
心の状態をそのまま映しているかのようです。
【制作秘話】
ハウルの城がガタガタと音を立てて歩くあの姿。実は「生きることは、みっともなくて、不格好なものだ」という監督の人生観が、あのデザインには込められているのです。
⑦崖の上のポニョ
海の中で暮らしていたさかなの子ポニョは、
人間の男の子・宗介と出会い、「人間になりたい」と願います。
強い気持ちによってバランスが崩れ、世界は大きく揺れ始めますが、
宗介はまっすぐにポニョを受け入れようとします。
幼いふたりの約束が、世界を動かしていく物語です。
【制作秘話】
宗介のモデルは、実は宮崎駿監督の息子・吾朗さんが5歳の頃の姿。監督がかつて息子と向き合えなかった時間の「やり直し」を込めた、愛のメッセージが詰まっています。
ジブリ映画おすすめ:正解のない世界に立ったときに
白か黒かでは割り切れない現実。
その中でどう生きるかを問いかける物語です。
⑧もののけ姫
人の暮らしを広げるタタラ場と、森を守ろうとする神々。
その対立の中に立つのが、呪いを受けた青年アシタカです。
どちらが正しいとも言い切れない世界で、
アシタカは「曇りなき眼」で見ようとし続けます。
その姿は、今の私たちにも問いを投げかけてきます。
【制作秘話】
宮崎監督は、制作中のインタビューで「この映画にはカタルシス(スッキリした結末)はいらない」と語っていました。その決断が、公開から数十年経っても答えの出ない、深い余韻を生んでいます。
→「もののけ姫」に学ぶ共生の知恵、近日公開
⑨風の谷のナウシカ
毒の森「腐海」に囲まれた世界。
人々はその脅威におびえながら暮らしています。
風の谷の姫ナウシカは、腐海をただ恐れるのではなく、
その仕組みを理解しようとします。
争いではなく、共に生きる道を探す彼女の姿は、
やさしさだけでは語れない強さを持っています。
【制作秘話】
制作初期、ナウシカは「もっと好戦的なお姫様」として構想されていました。しかし監督が「本当の強さとは何か」を突き詰めた結果、武器を捨て、風を読み、慈しむ今の姿が生まれたのです。
⑩となりのトトロ
田舎の一軒家に引っ越してきた姉妹、サツキとメイ。
入院中のお母さんを待ちながら、新しい生活を始めます。
不安やさみしさの中で出会う、不思議な存在トトロ。
その出会いは、子どもたちの心をそっと支えていきます。
何気ない日常の中にある、やさしい時間を描いた物語です。
【制作秘話】
お父さんがお風呂で大笑いするシーン。あれは「恐怖を吹き飛ばすためには、笑うしかない」という監督の経験則から生まれたもの。笑いと健康、そして心の回復について考えさせられる名場面です。
ジブリ映画まとめ:大人にこそ刺さる「生きるヒント」
ジブリ映画は、見るたびにちがう表情を見せてくれます。
子どものころに感じた楽しさも、
大人になって気づく切なさも、どちらも本物です。
そしてそのひとつひとつが、
これからを生きるための、小さなヒントになっていきます。
「cinema-info」では、今回ご紹介した10作品について、
さらに一歩踏み込んだ個別考察を順次公開していきます。
あのシーンの本当の意味は何だったのか。
キャラクターが選んだ道の裏に、どんな気持ちがあったのか。
気になる作品があれば、ぜひのぞいてみてください。
もう一度その物語にふれたとき、
あなたの目に映る景色は、きっと前と同じではありません。


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