映画『プラダを着た悪魔』で、主人公アンディを冷たくあしらう第一アシスタントのエミリー。
「ただの意地悪な先輩」という印象を持っている方も多いのではないでしょうか?
しかしその奥には、「運動部の新入部員」のような過酷な下積みを耐え抜き、必死に居場所を守ろうとする、働く女性のリアルな姿があります。
なぜ彼女はあそこまで厳しかったのか?
パリ行きを目前にして起きた、あの悲劇の真相とは?
この記事では、エミリーのプロ意識と人間くさい魅力を時系列で読み解きます。
続編『プラダを着た悪魔2』での再登場にも触れながら、「不屈の女・エミリー」の軌跡をたどります。
プラダを着た悪魔【エミリー考察①】いじわるに見える理由
『プラダを着た悪魔』のエミリーは、ファッション誌『ランウェイ』の編集長ミランダのアシスタントとして、いつかパリコレへ同行する夢を抱きながら、必死に働いてきました。
だから「ファッションに興味がない」と言い切るアンディを見て、この仕事は務まらないと感じたのでしょう。
予想外の採用に戸惑いながらも、上司の判断には従う。
そのうえで彼女は、自分が耐えてきた環境をそのままアンディにぶつけます。
その姿はまさに「運動部の厳しい上下関係」。
過酷な雑務を新入部員にも課す“洗礼”のような厳しさです。
ただしそれは、いじわるではありません。
彼女がアンディに厳しく当たる理由はただ一つ。
「パリに行く権利を守るための保身」です。
アンディのミスは自分の責任になる。
ミランダの機嫌を損ねれば、自分の未来が消える。
だからこそ、びくびくしながらも完璧を演じ続けたのでしょう。
そこには、自分を削ってでも生き残ろうとする切実さがありました。
プラダを着た悪魔【エミリー考察②】過酷すぎるダイエットの理由
『プラダを着た悪魔』のエミリーが、どれほどパリに執着していたか。
それが最もよくわかるのが、慈善パーティでのドレス姿の会話です。
アンディ:「とても細いわね」
(”You look very thin.”)エミリー:「本当?パリのためよ。新しいダイエットしてるの。何も食べないのよ。気を失いそうになったら、チーズをちょっとだけ食べるの。あと1回お腹を壊せば、目標の体重になるわ」
(”Really? It’s for Paris. I’m on this new diet. Well, I don’t eat anything. And then when I feel like I’m about to faint, I eat a cube of cheese. I’m just one stomach flu away from my goal weight.”)
この会話は一見ユーモラスですが、実はかなり深刻です。
なぜ、「あと1回お腹を壊せば」なのか
「あと1回お腹を壊せば……」
その言葉には、健康よりも優先される“価値”がはっきり現れています。
エミリーにとってパリは、努力の証明であり、選ばれた人間である証です。
だから彼女は、モデルのように痩せるため、自分の体さえコントロールしようとする。
食べない。削る。耐える。
そこまでして「ふさわしい自分」になろうとしていたのです。
しかもこの基準は、誰かに強制されたものではありません。
彼女自身が選んだルールです。
だからこそ――
それを失ったときのダメージが大きかったのでしょう。
長く努力してきた人ほど、外されたときの衝撃は強いので、その反動が、後の行動に表れていきます。
プラダを着た悪魔【エミリー考察③】ハンバーガーショップの理由
『プラダを着た悪魔』の物語中盤。
ミランダから「双子のために、未発表のハリー・ポッターの原稿を手に入れろ」という無理難題を突きつけられたアンディ。
失敗すればクビ。
その状況でエミリーは言い放ちます。
「彼女があなたをクビにしたら、私もクビよ!そしたらハンバーガーショップを探し回って、あなたを追い詰めてやるんだから!」
(If she fires you, she fires me! I will find a burger joint and I will… I will hunt you down!)
なぜ、復讐の場所が「ハンバーガーショップ」なのか
このセリフには、エミリーの本音が出ています。
まずは、アンディへの皮肉です。
エミリーにとってアンディは、「何でも食べる=ファッションの世界にふさわしくない人」。
「クビになったら、あんたはハンバーガーショップで働くんでしょ」
そんな見下しが込められています。
しかし同時に、これはエミリー自身の恐怖でもあると思います。
『ランウェイ』が世界の中心なら、ハンバーガーショップはその対極。
クビになったら、自分もそこに落ちるかもしれない…
つまりこの言葉は、攻撃であると同時に、最悪の自己投影でもあるのです。
だから余裕がありません。
彼女は、追い詰められている。
その不安が、あの一言に凝縮されているのだと思います。
プラダを着た悪魔【エミリー考察④】事故と絶望が「炭水化物」につながる理由
『プラダを着た悪魔』物語の後半。
エミリーの悲劇は重なります。
パリ同行の座がアンディに決まり、彼女がその報告を伝えるために電話したまさにその時、エミリーは交通事故にあってしまいます。
その両方を背負った彼女が、病室で叫ぶのがこの言葉です。
「あなたは炭水化物を食べる人なんだもの!」
(You eat carbs, for Christ’s sake!)
なぜ「炭水化物」なのか?
この「炭水化物」への異様なこだわり。
その理由は、エミリーにとって、それが単なる食べ物ではなかったからです。
炭水化物を断つことは、
「この世界にふさわしい自分でいるためのルール」でした。
だからこそ、食事に無頓着なアンディは“外側の人”に見えていたのです。
それなのに、パリ同行へ選ばれた。
ここで前提が崩れます。
努力すれば報われる。
我慢すれば選ばれる。
そのルールが、音もなく壊れたのです。
「私の努力は何だったの?」という気持ちにもなるでしょう。
続く病室のシーンで、エミリーはパンやプリンを口にします。
張りつめていた気持ちがほどけ、我慢するのをやめたのですね。
崩れたからこそ見えるエミリーの人間らしさです。
このシーン、強く心に残ります。
プラダを着た悪魔【エミリー考察⑤】続編でミランダの上に立つ?20年目の大逆転
エミリーの物語は続きます。
アンディが去ったあとも『ランウェイ』に残り、働き続けた彼女。
そこから20年。
公開された情報によれば、続編『プラダを着た悪魔2』でのエミリーは、予算をつける側の人間としてミランダと対峙します。
かつて顔色をうかがっていたアシスタントが、
今は交渉のテーブルに立つ側へ。
チーズ一切れで耐えていた彼女が、
今は“予算”という力を持っている。
エミリーの忍耐力がすさまじかったからこその逆転です。
去らずに残る。
その選択を続けた20年が、彼女をここまで押し上げたのですね。
新作のエミリーは、どんな風にミランダの前に立つのでしょうか。
その瞬間を見届けずにはいられません。
プラダを着た悪魔【まとめ】エミリーが見せた強さ
『プラダを着た悪魔』で、エミリーが見せたのは人間味あふれる本音でした。
いじわるに見える厳しさ。
体を削るようなダイエット。
思わずこぼれた本音の暴言。
そして、崩れてしまったあの病室の姿。
そのすべてに共通しているのは、「この場所で生き残りたい」という強い意志でした。
逃げずにしがみつく。
自分を削ってでも居場所を守る。
エミリーの生き方は、不器用で、時に痛々しいほどまっすぐです。
だからこそ、多くの人の心に引っかかるのだと思います。
そして20年後――
彼女はその場所に残り続けた先で、まったく違う景色にたどり着いたようです。
去る強さを選んだアンディ。
残る強さを選んだエミリー。
どちらが正しいかではなく、どちらも一つの生き方です。
5月1日公開の、続編『プラダを着た悪魔2』では、
あのとき「しがみつくしかなかった」彼女が、どんな顔でミランダと向き合うのか。
その変化を見届けることが、この物語のもう一つの楽しみになりそうです。
👉『プラダを着た悪魔2』あらすじを3分で予習したい方へ
エミリーの活躍が期待される続編。
そのストーリーとキャストをコンパクトにまとめています。
▶ プラダを着た悪魔2【3分で予習】あらすじ・キャスト解説|ミランダの危機にアンディは?



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