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『耳をすませば』猫のムーンの正体は?『猫の恩返し』ムタへの繋がりを考察

時代を超える
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ジブリ映画『耳をすませば』に登場する、ふてぶてしくて愛らしい猫・ムーン
気がつくと電車に乗り、どこかへ向かっていくその姿に、心をつかまれた人も多いのではないでしょうか。

そしてこのムーンは、後の作品『猫の恩返し』に登場する“ムタ”へとつながっていきます。

この記事では、ムーンの正体やモデルになった猫、ムタとの関係など、制作の裏側を紹介しながら雫の成長まで考察していきます。
日常のすぐとなりにある、小さなファンタジーの秘密を一緒にのぞいてみましょう。

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耳をすませば:ムーンの正体とは?原作との違い

『耳をすませば』を語るうえで欠かせないのが、雫を不思議なアンティークショップ「地球屋」へと導いた猫、ムーンです。そのミステリアスな正体について、事実と背景を整理します。

ムーンの正体① 原作では2匹の黒猫だった

映画では1匹の太ったブチ猫ですが、原作漫画ではまったく違う姿をしています。

柊あおいさんの原作漫画では、実は2匹のスリムな「黒猫」として登場します。

名前は「ムーン」と「ルナ」。

この2匹は、雫が幼い頃に出会った猫たちという設定です。

「名前をたくさん持っていて、どこに住んでいるかわからない」
という設定は引き継がれています。

ビジュアルがこれほど変わったのは、モデルの猫がいたからです。



ムーンの正体② 実在のモデルがいた

理由の2つ目は、ムーンに実在のモデル猫がいたことです。
そのモデルは、スタジオジブリの近所に住み着いていた野良猫、通称「ウシコ」でした。

白地に黒のブチ模様。
まるまるとした体つき。
どこか牛のような見た目。

でもそれ以上に印象的だったのは、
「人に飼われているわけでもなく、自分の意思でそこにいる」ような雰囲気でした。

作画監督の近藤喜文さんは、このウシコを観察し、その「ふてぶてしくも愛嬌のある動き」をムーンの作画に反映させたといいます。

“自由に生きている感じ”が、そのままムーンに宿っているのですね。

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耳をすませば:ムーンが「ブタ猫」になった理由・考察

ジブリ映画『耳をすませば』では、原作のイメージを大きく変えてまで、なぜムーンはあの姿になったのでしょうか。そこには、この映画を「単なるファンタジー」に終わらせないための、制作陣の強い意志がありました。

理由①「ジジ」の影を消し、本作のリアリティを守るため

ジブリで「黒猫」といえば、誰もが『魔女の宅急便』のジジを思い浮かべます。

宮崎駿監督が黒猫案に反対したのは、ジジの持つ「魔法の使い魔」というイメージを消したかったからだと言われています。

確かに、もし雫の前に現れたのが黒猫だったら……
私も無意識に「魔法」を連想していたような気がします。

本作『耳をすませば』が描きたいのは、魔法のないリアルな世界。
日常の中で、もがきながら自分の道を見つける少女の物語です。

あえてどこにでもいるような、少しふてぶてしい「日常の猫」にすることで、雫が暮らす街の息遣いやリアリティを守り抜いたのではないでしょうか。



理由②「可愛くないのがいい」が投票で勝ったから

実は、ムーンのデザインが決まるまでには、スタジオ内で異例のプロセスがありました。

映画の制作中、原作通りの「黒猫」を推す近藤喜文監督のグループと、宮崎駿監督が推す「ブタネコ」のグループで意見が真っ二つに割れてしまったのです。

そこで、どちらの案を採用すべきか、実際にスタジオジブリのスタッフ全員による「猫投票」が行われました。

1994年、制作が佳境に入るなかで実施されたこの投票の際、宮崎監督はこう主張したといいます。

「可愛くないのがいいんだ。不愛想で、どこにでもいる、その辺の変な猫でなきゃいけない」

結果、選ばれたのはスマートな美形猫ではなく、宮崎監督が描いた「可愛くないけれど、なんだか目が離せない」という強烈な個性を放つ「ブタネコ案」でした。

これは私の考察ですが、物語の中で・主人公雫は、「自分の不完全さ」という苦い現実と向き合い、努力しています。そんな雫の隣に寄り添うのは、シュッとした神秘的な猫よりも、どこか不格好で、けれど自分の意志でどっしりと生きているこの猫の方がふさわしかったと思うのです。

「カッコよくないけれど、目が離せない」
その姿は、未完成な自分を磨こうとする雫自身の姿とも、どこか重なって見えます

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耳をすませば:ムーン『猫の恩返し』ムタへの繋がり|雫の「最高の恩返し」を考察

姿形は変わっても、ムーンという存在は雫の中で、そして後の物語の中で大きな意味を持ち続けていきます。

名前の融合|「ルナ」と「ムーン」は雫の中で生きている

『耳をすませば』の雫が、大人になって書き上げた物語が、のちに世に出た『猫の恩返し』です。
これは都市伝説ではなくて、ジブリの公式設定です。
👉詳しくはこちら『猫の恩返し』は雫が書いた物語?驚きの設定を考察

『猫の恩返し』にもムーンによく似た太ったブチ猫・ムタが登場します。
ムタはムーンをモデルにして、雫が自分の物語に登場させた存在です。

ここで注目したいのは、ムタの名前です。
ムタの本名は「ルナルド・ムーン」

原作で消えてしまったもう一匹の黒猫「ルナ」の名が入っていますね!

『耳をすませば』では、ムーンという一匹の猫の名に集約されてしまいましたが。
大人になった雫が自分の小説の中で、「ルナ」と「ムーン」の名前をひとつに繋ぎ合わせていたんです。これはもう、原作に対する制作陣の愛と敬意だと思います。

『猫の恩返し』を書いた雫の立場から見たら……
作者である雫から、自分を地球屋へ導いてくれた猫ムーンへの、粋で愛情深い「恩返し」だったのかなという想像が膨らみます。



ムーンの「正体」は、雫を「自分の物語」へと導いた案内人

ムーンは、雫に何かを教えたり、助けたりすることはありません。
ただ電車に乗り、自分の行きたい場所へ歩いていくだけです。

しかし、その背中を追いかけたからこそ、雫は「地球屋」に辿り着き、自分の中にある「原石」に気づくことができました。

ムーンは雫の中に眠る物語を強引に引き出し、彼女を「作家」へと変えた、影の主役だったと言えるのではないでしょうか。

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【まとめ】ムーンはあなたの街にもいるかもしれない

ムーンが黒猫ではなく、どこにでもいそうなブチ猫になったこと。
それは、この物語をぐっと身近なものにしました。

自分の街のどこかで、ひっそり暮らしているかもしれないーー
そんな気分にさせてくれます。

今度、街角でふてぶてしい猫を見かけたら、そっと後を追ってみてください。
もしかしたら、あなたを素敵な「地球屋」へ連れて行ってくれるかもしれません。

あわせて読みたい:ムーンが導いた「地球屋」の住人たち

ムーンに導かれて「地球屋」へ訪れた雫が出会ったのは、気高き猫の男爵バロンと、夢を追う少年・聖司でした。 雫の人生を大きく変えた、この「二人の存在」についても詳しく深掘りしています。
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『耳をすませば』をさらに深く楽しむために

自由奔放なムーンの物語を読んだ後は、ぜひ『耳をすませば』という作品が持つ「自立」というテーマについても触れてみてください。 映画を観終わったあとの、あのキリキリとした焦燥感の正体がわかるかもしれません。
👉『耳をすませば』あらすじ考察まとめ|ラストの意味・雫が泣いた理由・聖司の決断を解説

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