「あの5本の腕の異星人、一体どうやって動かしているの?」
映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を観終えたあと、
そんな疑問が残った方も多いはずです。
実は、ロッキーの動きはCGだけではありません。
その裏には、
5人がかりで操る“アナログな技術”が隠されています。
さらに、日本語版でロッキーの声を担当した
花江夏樹さんにまつわる話題や、
スピルバーグの演出提案など、
知れば知るほどロッキーが愛しくなる秘話が満載です。
この記事では、
異星人ロッキーを切り口に作品を深掘り。
「なぜ、ロッキーはこれほどかわいいのか?」
その正体から、制作の舞台裏まで徹底解説します。
ストーリーを整理しておきたい方は、先にこちらをどうぞ。
▶︎プロジェクト・ヘイル・メアリーのあらすじネタバレはこちら

映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ロッキーはなぜ「かわいい」のか?関係性とサイズ感の考察
異星人ロッキーの特徴は?
ロッキーは、主人公グレースが宇宙で出会う異星人です。
五本の腕を持つ岩のような身体。
視覚は持たず、
音の反響で周囲を認識するという、
地球の生物とはまったく異なる特徴を持っています。
彼の母星は、惑星エリド。
29気圧で大気の主成分はアンモニア。
だからグレースと協力するためには、
隔壁を作って、居住区を分けるなど、
互いの生存条件を満たす工夫が必要でした。
ロッキーは、5本の腕を自在に操り、
必要な装置を次々と作り出す高度な技術を持つ
「エンジニア」でした。
言葉も環境も違う中で、
グレースとロッキーは
「科学」という共通言語を使って
少しずつ理解を深めていきます。
ロッキーはかわいい?その魅力の理由
では、そんなロッキーは
「かわいい」のでしょうか?
じつは私は、原作小説を読んだとき、
ロッキーの姿をうまく想像できませんでした。
「クモみたいな岩」という表現が、
どこか、ぼんやりしたイメージだったのです。
ところが映画でロッキーの姿を見たとき、
「こんなに、かわいいビジュアルだったのか」
と、正直驚きました。
そのかわいさの正体は、
“距離感”にあると私は思います。
たとえば、グレースの足元に収まる
あのサイズ感。
どこか、人に懐いた
犬のような印象がありませんか?
最初は得体の知れない存在だったロッキーが、
少しずつ「理解できる存在」へと変わります。
宇宙服の代わりに球状のキセノナイトを転がしながら
グレースの宇宙船にやってくる頃には、
すっかり馴染んだ“友だち”になっていましたね。
見た目そのものが愛らしいというよりも、
グレースとの関係性の中で育っていく愛着。
それがこそがロッキーの
「かわいい」の本質だと、私は思います。
ロッキーの声優は誰?日本語版は花江夏樹が担当
ロッキーがグレースと意思疎通するために選んだ
「翻訳機の声」
日本語吹き替え版では、花江夏樹さん
(『鬼滅の刃』竈門炭治郎役、
『四月は君の嘘』有馬公生役など)
が担当しています。
字幕版の低めのトーンに慣れていると、
花江さんの声は「少し高くて違和感がある」
と感じるかもしれません。
しかし、率直で正直、少年のような純粋さを持つ
ロッキーのキャラクターには、
花江さんの明るい響きが「対等な相棒」としての
親しみやすさを与えています。
あの優しく、どこか切なさを帯びた声は
ちょっと、ユーモラスでもありますね。
だから、花江さんの声は異星人であるロッキーに、
字幕版とは別の人間味を吹き込んでいると思います。
ロッキーの中の人は5人?パペットで再現された驚きの撮影方法
五本の腕を持つロッキー。
最新のCGかと思いきや、
実は巨大なパペット(操り人形)が使われています。
驚いたことに、
それぞれの腕に一人の操作師がつき、
合計五人のチームで動かしているのです。
この手法は、
日本の伝統芸能「文楽」にも通じるもの。
人の手で細かなニュアンスを表現するからこそ、
ロッキーの動きには温かみと命が宿ります。
主演のライアン・ゴズリングも、
目の前に「実在するロッキー」がいたからこそ、
あの奇跡の友情を演じられたと語っています。
パペットチームの活躍に拍手ですね!
映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』知るともっと面白い!ロッキーにまつわる裏話4選
① スピルバーグ提案|『未知との遭遇』オマージュ
グレースがロッキーと初めて意思疎通を
試みるシーンの「5つの音階」。
これはスティーヴン・スピルバーグ監督の名作
『未知との遭遇』で使われたテーマ音楽です。
異星人と“音”でコミュニケーションを取る、
あの象徴的なモチーフです。
これは本作の監督である
フィル・ロード&クリス・ミラーが、
制作前にスピルバーグと面会した際、
「エイリアンが歌うなら、
『未知との遭遇』のテーマを
使ったら面白いのでは?」
と、スピルバーグ本人から提案された
アイデアだったのです。
ただし、スピルバーグは本作の制作陣ではありません。
また、この楽曲は
名作曲家ジョン・ウィリアムズによるもの。
制作陣は最後まで
使用許可を気にしていたそうですが、
結果的には問題なく実現しました。
私は、このシーンがとても好きなので
採用されて本当によかったです!
②ロッキーの声|メリル・ストリープがカメオ出演
グレースが翻訳機を作る過程で
色々な声を試すシーンがありました。
その中で「メリル・ストリープ」とつぶやくと、
本当に彼女そっくりの声が返ってきます。
実はあれ、大女優メリル・ストリープ
本人が演じているんです!
監督が「ダメ元で」お願いしたところ、まさかの快諾。
「AIが演じるメリル・ストリープ」を本人が演じるという、
遊び心あふれる演出です。
メリル・ストリープに変換された声を聞いたグレースは
「なんでもできるんだな」と感心します。
このセリフには、本気の驚きと
制作陣へのリスペクトがこもっていたかも知れませんね。
私は、映画を観たときはAIで作った声だと思ったので
事実を知って得した気分になりました。
こういう依頼を楽しんでくれる
メリル・ストリープの懐の深さに、
さらにファンになってしまいますね。
ちなみに、最終的にロッキー自身が選んだ「声」は
ジェームズ・オルティスが演じています。
③ 映画オリジナル|巨大スクリーンが生んだ没入感
宇宙船内に登場する、
地球の風景を360度で再現する
巨大スクリーン。
グレースが宇宙での孤独を癒せるように
作られた特別な部屋で、
景色を変えて何度も出てきました。
これは原作にはない、
映画オリジナルの設定です。
「映画館という大きなスクリーンで観る意味」
を作るために、
監督たちが特別に用意したそうです。
孤独な宇宙でグレースが見つめる地球の風景は、
観る側の心にも深く残ります。
特に、ロッキーと並んで座っているときは、
一緒に地球を旅しているようでしたね。
けれど、これにはちょっと違和感があります。
ロッキーには視覚がありません。
光や映像を見ることはできないのです。
だから、
スクリーンに映し出された地球の景色は
“見えていない”はずなのです。
それでも彼は、グレースの隣にいる。
もしかするとロッキーは、
映像そのものではなく、
隣にいるグレースの感情や音の反響を
共有していたのかも知れません。
同じものを見ていなくても、
同じ時間を共有することはできる。
二人の心のつながりが、ゆっくり
深まっていく描写だと思うのです。
④エイドリアンの意味|名付けに込められた友情
タウ・セチの第3惑星、
のちに「タウメーバ」を発見する
ことになる惑星に名前をつけるシーン。
ロッキーはその惑星に、
自分のメイト(伴侶)の名前をつけました。
ロッキーの発音は歌うような和音ですから
グレースには再現できません。
そこでグレースは、
「ロッキーのメイトを英語にするなら、
これしかない!」
という名前を提案します。
それが「エイドリアン」
もちろん、名作ボクシング映画『ロッキー』
へのオマージュです。
映画『ロッキー』のラストシーン。
試合直後のボロボロな状態で、
ロッキーが愛する恋人「エイドリアン」
の名前を繰り返し叫ぶ姿が印象的でした。
異星人の相棒を「ロッキー」と名付けたのは
グレースです。
ロッキーの”メイト(伴侶)”なら
「エイドリアン」と呼ぶのが当然だ……
という、グレースの遊び心が詰まった
ネーミングなのです。
異星人との友情を、
地球の映画文化で彩る、
ファンにはたまらない名付けのエピソードですね。
【まとめ】科学と情熱が生んだ友情のかたち
映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の
もう一人の主役、ロッキー。
5人の操作師によって命を吹き込まれた彼の動きには、
人の手だからこそ生まれる温かさが宿っていました。
その裏側には、
名優や制作陣のこだわりと情熱が詰まっていました。
そして――ロッキーは、かわいいのか?
私は、見た目がかわいいというより、
関係性がかわいい存在になっていくのだと思います。
最初は未知で恐ろしかった相手が、
理解し合い、信頼し合い、やがて友になる。
その変化のすべてが、
ロッキーを“かわいい”と感じさせる理由
なのではないでしょうか。
こうした背景を知ったうえで本作を観ると、
グレースとロッキーの友情は、
よりいっそう深く、心に響いてきます。
この記事を読んで、
「そもそも二人はどんな運命をたどったのか?」
「物語全体の流れや結末をもう一度整理したい」
そう感じた方は、こちらもぜひご覧ください。
▶︎プロジェクトヘイルメアリー あらすじネタバレ解説


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