『ウォンカ』のウンパルンパ 俳優は誰?ヒュー・グラント起用の理由と作品の魅力

ミュージカル

映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり(原題Wonka)』は、
若き日のウィリー・ウォンカが亡き母との約束を胸に、
仲間たちと協力しながら夢を形にしていく物語です。

テンポよく物語が進み、歌とダンスに彩られた上質なミュージカル映画として、
非常に楽しみやすい一本になっています。

ただし本作は、ジョニー・デップ主演のヒット作
『チャーリーとチョコレート工場』(2005)の前日譚ではありません。

この点を知らずに鑑賞すると、戸惑いを覚える場面が少なくないでしょう。

じつは、本作は1971年版『夢のチョコレート工場』の前日譚です。
ウンパルンパは、当時のビジュアルと楽曲を踏襲し、
緑の髪にオレンジ色の肌で、同じメロディの曲を歌います。

そして、集団ではなく、登場するのは一人だけ。
“小さな紳士”としてウォンカの前に現れる重要なキャラクターです。
なぜこの役にヒュー・グラントが起用されたのでしょうか。

本記事では、ウンパルンパというキャラクターと
俳優ヒュー・グラントの関係性に焦点を当て、作品の魅力を読み解いていきます。

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』ウンパルンパ俳優はヒュー・グラント

映画『ウォンカ』のウンパルンパ役:ヒュー・グラントは身長180cm

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』で
ウンパルンパを演じているのは、ヒュー・グラントです。

ラブコメの帝王とも呼ばれた身長180cmのイケメン俳優が、
まさかウンパルンパ役を演じるとは、公開前から大きな話題になりました。

ヒュー・グラントといえば、
『ノッティングヒルの恋人』
『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズに代表されるように、
完璧ではない大人の男性を軽やかな皮肉とともに演じてきた俳優です。

甘さの中にシニカルさを忍ばせた語り口は、観客に
「感じはいいが、どこまで信用していいのか分からない」
という印象を自然に残します。

この
人当たりはいいのに油断ならない
という性質こそが、ヒュー・グラントという俳優の大きな魅力です。

映画『ウォンカ』のウンパルンパ役、ヒュー・グラント起用の理由

本作のウンパルンパは、
単なる“マスコット的存在”ではありません。

ウォンカの前に現れ、
条件を突きつけ、
物語の主導権を握る場面さえあります。

ポール・キング監督は、
「ウンパルンパがウォンカを追うほうが
面白いと思った」
と語っています。

つまり本作では、
ウォンカが物語を動かしているように見えて、
実はウンパルンパに試され、
翻弄されている構図が描かれているのです。

この主役と対等に渡り合える存在感を成立させるためには、
登場しただけで空気を変えられる俳優が必要でした。

丁寧で礼儀正しい。
けれど、どこか信用しきれない。

ヒュー・グラントの声と佇まいは、
ウンパルンパという「従わない案内役」のキャラクター性と
見事に重なります。

だからこそ本作では、
ウンパルンパは一人だけなのです。

数で押すのではなく、
“質”で観客の記憶に残す存在として、
このキャスティングは設計されています。

結果的に、本作のヒュー・グラント演じるウンパルンパは
一度見たら忘れられない、強烈な印象を与える存在になりました。
彼の起用は大成功だったと思います。

映画『ウォンカ』でヒュー・グラント本人が語る“ウンパルンパ役の本音”

そんな重要な役を任されたヒュー・グラントですが、
本人の口から語られたのは、
意外なほど率直で、少し自虐的な言葉でした。

宣伝イベントなどで彼は、
モーションキャプチャーによる撮影について
「とても不快で、全体のことを嫌いになったほどだ」
と語っています。

顔の周囲を複数のカメラに囲まれた状態での撮影を、
「いばらの冠のようだった」
と表現したこともありました。

また、
「どこまで体を使って演技すべきかわからなかった」
「自分の動きはひどく、
結局ほとんどアニメーターに置き換えられた」
と、笑いを交えながら振り返っています。

ダンスシーンについても、
「最終的にはアニメーターが作ったものだから、
僕はほとんど関係なかった」
と語り、

完成作を見て、
「それだけの価値があったかと聞かれたら、
正直 not really かな」
と肩をすくめました。

この
“やる気がなさそうで、実は的確”
なコメントの数々は、
そのままウンパルンパというキャラクターの性格を
体現しているようにも思えます。

私は、ウンパルンパ役のヒューをますます好きになりました。

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』ウンパルンパは、なぜ物語をこんなに面白くするのか

ウンパルンパは“交渉しない”存在である

本作のウンパルンパが面白いのは、
彼が一切、理屈で折れないところです。

自分に都合が悪くなると、
「ウンパルンパは交渉しない」
と言い切り、さっさと逃げてしまいます。

主人公であるウォンカをだまし討ちにし、
フライパンで攻撃し、
堂々とカカオ豆の条件を突きつける。

冷静に考えれば、かなり身勝手です。
それでも不思議と、彼を嫌いになれない。

それは、ウンパルンパが
正義でも悪でもなく、
「自分のルールだけで生きている存在」として描かれているからです。

ヒュー・グラントの、少し皮肉めいた声と間の取り方が、
その身勝手さを“憎めない可愛らしさ”へと変えているのもいいなと思います。

ウォンカにとってのウンパルンパの役割

物語の後半で、ウンパルンパはウォンカを助け、
やがて友人のような存在へと変わっていきます。

ここで重要なのは、
ウンパルンパが「改心した」わけではない、という点です。

彼は最後まで、自分のルールのままです。
ただ、ウォンカが
夢だけでなく、仲間を大切にし、約束を守ろうとする姿を見たことで、
彼を“信用に値する存在”だと判断した。

つまりウンパルンパは、
ウォンカを導く教師でも、従者でもなく、
ウォンカを評価する第三者として物語に存在しています。

この距離感があるからこそ、
二人が並んだとき、上下関係ではなく、
友人のような関係性が成立するのでしょう。

日本語吹替・松平健という最高の采配

日本語吹替版でウンパルンパを演じているのは、松平健です。

紳士的な声を持ち、
コミカルな演技もでき、
さらに歌まで歌える。

ウンパルンパに必要な要素を、
これほど自然に満たせる声優は、そう多くありません。

松平健の声が加わることで、
ウンパルンパは
「可笑しい存在」であると同時に、
どこか格のあるキャラクターとして印象づけられます。

英語版の
ヒュー・グラントの乾いたユーモアに対し、
日本語版では
品と迫力が加わる。

その違いはあっても、
キャラクターの芯がぶれないのは、
松平健が“紳士としてのウンパルンパ”を正面から演じているからでしょう。

ウンパルンパに松平健をキャスティングした采配には全力で拍手を送りたいと思います。

まとめ『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』作品の魅力

ウンパルンパが忘れられない理由

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』は、
夢を持つことの楽しさと同時に、
夢を叶えるために必要な誠実さを描いた作品です。

若き日のウォンカは、
母との約束を胸に、仲間と出会い、失敗し、
それでも夢を手放さずに進んでいきます。

その歩みを、
最初から最後まで少し距離を置いて見つめているのが、ウンパルンパです。

彼は、助言者でも、師でもありません。
命令に従う存在でもありません。

約束を守るのか。
仲間を裏切らないのか。
自分の夢のために、誰かを踏みにじらないのか。

ウンパルンパは、
そうしたウォンカの振る舞いを一つずつ確かめたうえで、
「この男なら、隣に立ってもいい」と判断した存在です。

だからこそ、最後に並んで立つ二人の関係は、
主人と従者ではなく、対等なパートナーとして成立します。

背の高いヒュー・グラントが演じる
小さな紳士のウンパルンパが、これほど印象に残る理由。

それは、その特徴的なビジュアルだけでなく、
彼が物語の価値を測る存在として描かれているからでしょう。

だから『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』を観ると
主人公だけでなく、ウンパルンパが
忘れられない余韻を残すのだと思います。


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